語られた神話


 ――死者の還る場所、それつまり神の国である。

 我々は神の国から生まれ、神の国へと還る。世界が一度壊れて間もなく、人々は言った。なぜ世界が滅びたのか人々は知らない。また、いついかなることによって滅びたのかも知らない。ただ世界は滅び、新たなる世界がある。それが事実だ。
 人々は神話によって世界の始まりを語った。

 世界が壊れた時、偉大なる神は泣いた。七日間流れた神の涙は、新たな海に変わった。神は割れた大地を鎮めるために、各地に神殿を造り、そこに息吹を与えた。偉大なる神の息吹は、神殿に「神の子」を与えた。神の子達は神殿で祈りを捧げた。
 人々はいつの日にか、彼らを地上の「神」と呼んだ。そして、滅びのあとに生まれた世界を「虹の橋でつながった人と神の世」――「新世界」と言った。


神聖帝国 華璃【ファリ】


 「風の神」に愛された国。次期帝位継承者は18歳になると神殿に行き、誓いを立てる。
 この国の皇族は皆、黒髪に一房だけ暗赤色の髪を持つ。
 シェンユイは5代目の皇帝。彼の孫のシェンイエは第7代皇帝にあたる。
 隣国であるクァン帝国とは同盟関係にある。
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